。もう一度,大空の舞台に立つために。 ●そこは確かに,翼持つ人々の生きる世界 翼を持った人々が織りなすドラマを描いた本作だが,作中ではことさらに「この世界の人々は,背中に翼が生えている」などとは書かれない。当然だ。作中世界の人々にとっては,背中に翼があるのが当たり前なのだから。このように「翼を持つ人々の住む世界」がごく自然に描写されているのが,本作の魅力の一つである。 たとえば地上を第一層とし,そこから空中に向かって広がっている空中市場(ルー?マルシェ)。作中の描写を追うだけで,青空を背景に,rmt,人や雲上馬車(ベーガ?セアラ)が行き交うにぎやかな市の様子が目に浮かぶようだ。六翼鳥(レジール),飛び魚(ルーフィス)といった数々の固有名詞も想像を掻きたてる。その一方で,この世界の負の側面,たとえばかつて飛べなくなった人々は迫害を受けていたそれゆえに義翼の製作技術が発達したといった歴史の話もさりげなく盛り込まれている。 さらには,「翼を動かすための筋肉『翼胸筋』を鍛えると,女性は乳房が盛り上がる(つまり優れた飛翔士はみんな巨乳)」とか,「飛翔服(ルーラ?オール)は空気抵抗を減らすために布を減らし,体のラインがはっきり出る形状になっており,さらに翼胸筋の動きを妨げないよう胸元が大きく開いている」などという,どう考えても読者サービスとしか思えない設定もある。いやはやけしからん,けしからんぞ! ●少女の翼と同じ速度で翔ける300ページ 紆余曲折を経て,ガレット製の義翼を手にしたフリージア。目指すはもちろん,天覧飛翔会への復帰,そして優勝。だが運命は,ドラゴンクエスト10 RMT,1つの挫折を乗り越えた少女に,次々と新たな試練をもたらしてくる。一度折れた翼は果たして,再び空を舞うことができるのだろうか。 物語は,フリージアが苦難に立ち向かっていく姿を縦軸に,ガレットの秘められた過去や,フリージアが翼を失った事件の真相などを絡めながら進んでいく。盲蚬踏幛毪韦希榨戛`ジアのライバル的存在の飛翔士グロリア?ゴールドマリーに,フリージアと同じくガレットに義翼を作ってもらった少年クローバー?テクトラムや,マスコット的存在の四翼馬(ベーガ)のブッフォン。フリージアとガレット,グロリアの淡い三角関係などを交えながら,ストーリーはクライマックスである天覧飛翔会の大舞台へとつながっていく。 正直なところ,構成に大きな驚きはない。話がテンポよく進む半面,描き込みが物足りないと思う向きもあるかもしれない
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